WORKS

これまでのSHU-MAIの軌跡がここに

第131回フライヤー

第131回

コンペをコンペする

Sohara Presents

あなたが建築学生ならば、設計課題やコンペに参加したことがあるに違いない。審査委員の出題から議論が始まる『コンペティション』。参加者は、出題をもとに議論しながら作品を創り、後に審査委員が議論して優秀者を選定する。そして、受賞者が決定したあとも世間ではさらなる議論が起こるだろう。審査委員を務めるような有名建築家でない学生たちは、このような、フラクタル状に発展する議論の起点になった経験があるのだろうか—。

吉田素文氏は、議論の方向づけには「広げる、深める、止める、纏める」の4つに影響されると主張している。これらが理解されないまま議論が進むと、まるでロマネスコのつぼみのようにあらゆる方向に枝分かれしてしまう。議論がまとまって進むためには、参加者の議論に依存するばかりでなく、取り組みやすいテーマや出題方法も考える必要がある。あなたはどのような空間や議論を求めてコンペを出題するのか、様々なテーマを募ることとする。 (曾原翔太郎)

第132回フライヤー

第132回

世界最小の論考コンペ

Kawamoto Presents

あなたにとっての建築を一文字で表してください。その一文字を選んだ説明や、模型で空間を表現するなどで可能ですが、必ず一文字を提出すること。

「あなたにとっての”建築”を一文字で表してください。」というコンペである。 一文字から考える。または、カタチを作ってから考えるという双方からインプット・アウトプットすることができる課題であった。シンプルながらにすごく難しい課題であったのではないかと思われる。一人一人の建築観を語り合うことができる課題であった。 (河本一樹)

第133回フライヤー

第133回

ありえない世界で ありそうな建築

Higashi Presents

地震の絶えない国ニッポン。世界一海面の近い国ツバル。太陽の沈まない白夜が訪れる国フィンランド。水道も凍る都市ヤクーツク。世界を見渡してみると、まるでありえないような世界が数多く存在している。しかしながらこれらは、厳しい環境に対して対抗しながら自分たち独自の秩序を生み出し、人の営みを形成している。つまり、建築を考えるための手掛かりもまるで異なっているはずである。

そこで、「今自分がいる世界に、ありえない一つの事象を与えてみる。」そのとき導かれる建築の形態、住まいの在り方はどんなものになるだろうか。 これは一種の思考実験である。自らの想像力を極限まで働かせ思考し、新しい世界を見せてもらいたい。 (東尚生)

第134回フライヤー

第134回

名称未設定。

Sohara Presents

第0回の課題文にある通り、我々学生は指導的立場に在る人々からの問に対し応えるのみである。このとき、学生は課題文と同時に制約を受け取る。制約は設計手法を知らない学生のための支援となり、思考のプロセスを誘導する役割があるのだ。

世界で最も成功した美術館のひとつであるMoMAでは、絵画や彫刻だけでなく、写真、映画、建築にも独立したキュレーター部門を設け、多角的な展示を行っている。(引用 著:難波祐子『現代美術キュレーターという仕事』)この現実がある限り、建築は芸術の一分野に数えられてもおかしくは無い。しかし、先に挙げた5分野の中で「建築」だけ異質な存在である。建築のみが、初めから敷地条件や法規、クライアントの意向など、目を背けられない制約が存在し、まっさらなキャンバスを目にすることがないのだ。

「建築を学ぶ人は、制約がないときどのような作品を創るのだろう」

私は非常に興味がある。四半世紀も生きていない若人が、どのようなものを作るのかを。

参加者に完全にまっさらな状態から作品を作って貰いたいが、それは「完全にまっさらな状態から作品を作ってください。」という制約を設けることになり、矛盾が生じる。そのパラドックスをできる限り回避すべく、参加者に「名称未設定とはどういうものなのか」ということを考えて頂きたい。

Illustratorを起動した時、最初のドキュメントは「名称未設定.ai」で保存される。大学生活の殆どを制約の元で過ごしてきた建築学生は、名称未設定の白いキャンバスをどう捉えるのだろうか? (曾原翔太郎)

第135回フライヤー

第135回

解かない

Izutsu Presents

最近テレビが面白くないと感じるようになった。かつての放送局が優秀だったのからなのか、規制が増えたから なのか、それとも私たちがちょっぴり大人になったからなのかは分からない。退屈な演出と度重なるコマーシャ ルに欠伸をしながら手元のスマホに手を伸ばす。それは端的に答えを教えてくれるから。私たちの脳は賢くない。 だからいつだってシンプルな方が良いらしい。

方程式を解くように、緊張を解くように、建築も解く。建築家は複雑化された人々の営みとニーズを直線化する 作業を行うのが仕事だと誰かが言った。しかし、点と点を直線で繋ぐだけの建築は本当にこれからの社会に求めら れる姿なのだろうか。解けるものを解かないとき、どのような豊かさを手に入れることができるのだろう。 (井筒悠斗)

第136回フライヤー

第136回

夢のよう

Iwata Presents

夢【ゆめ】
睡眠中に体験される感覚性の心像で、そのほとんどは視覚的心像によって占められている。しかし聴覚、嗅覚、味覚、触覚、運動感覚などにかかわる夢が現れることもある。
(日本大百科全書)

夢の中では、ありえないことがさも当たり前であるかのように起こる。しかし、夢の中の私たちはそれらを当たり前のように受け入れている。

夢について再考してみると、その「ありえなさ」に魅力があるように思える。目が覚めていると信じられない事柄が、夢の中では自然と信じられる。そこで。夢の中のような空間を現実で表してみるとどのようなものになるのだろうか?現実ではありえないと感じるような素っ頓狂な状況を実際に体験するとき、それは一体どのような空間であるのか考えてみたい。 (岩田理紗子)